定年後も働き続けることを考えている方は多いでしょう。
日本では「人生100年時代」と言われるようになり、60代や70代でも仕事を続けることが一般的になりつつあります。働くことは経済的な安定や社会とのつながりを維持するために重要です。
しかし、老後に適さない仕事を選ぶと、心身への負担が大きく、健康を損ねるリスクが高まる可能性があります。
そのため、体力や集中力が衰える年齢だからこそ、自分に合った仕事を選ぶことが大切です。
この記事では、老後の働き方や避けるべき仕事について詳しく解説します。
なぜ老後も働き続ける人が多いのか?
内閣府の「高齢社会白書」によると、60代以降で働く主な理由は、「生活費を補うため」が最多で、次いで「健康維持」や「社会とのつながりを持ち続けたい」といった理由が挙げられています。
年金だけでは生活が厳しいと感じる方にとって、定年後の仕事は経済的な安心感を得るための重要な手段となっています。
一方で、働くこと自体が生きがいとなるケースも多く、仕事を通じて社会に貢献したり、自己実現を果たすことで精神的な充実感を得られることもあります。
60代の雇用状況
2023年に実施された60歳から69歳の男女を対象にした調査によると、60代前半では約51%の人が再雇用という形で働いています。
再雇用は、定年退職後も同じ会社で働き続ける形態です。
再就職や起業といった形で働いている人もおり、60代前半の約8割が何らかの形で就業している現状が見えてきます。
しかし、65歳以上になると、再雇用で働く人の割合は21%に減少し、約46%が無職という状況です。
再就職をする人や、起業する人も少なからず存在しますが、60代後半になると働くことのハードルが上がることがわかります。
老後に避けるべき仕事
老後も働き続けるためには、身体や精神に過度な負担をかけない仕事を選ぶことが重要です。
以下に、老後に避けるべき代表的な仕事を紹介します。
1. 接客業
接客業は一見シンプルに思えるかもしれませんが、体力的にも精神的にも大きな負担がかかります。
特に飲食店や小売業では、長時間の立ち仕事や顧客対応が求められ、ストレスが蓄積しやすくなります。
特に、顧客からのクレームや要望に迅速かつ適切に対応しなければならず、精神的なストレスも相当なものです。
さらに、忙しい時間帯や繁忙期には、プレッシャーが増し、ストレスが蓄積されやすくなります。
さらに、接客業は「気を使う仕事」であり、注意力や気配りが常に求められるため、年齢とともに注意力が散漫になりやすい60代には、精神的な負担が大きくなります。
老後には、こうした仕事を避けるのが賢明です。
2.IT関連の仕事
IT業界は技術の進化が早く、常に新しい知識やスキルを学び続ける必要があります。
これに追いつくためには、相当な努力と集中力が求められます。
60代では、若い頃に比べて新しいことを学ぶスピードが遅くなることが多く、技術の進化に対応するのが難しいと感じることが増えるでしょう。
また、長時間パソコンに向き合う作業は肩こりや視力低下、精神的なストレスを招きやすいです。
こうした負担が健康に悪影響を及ぼす可能性が高いため、老後には不向きな仕事と言えるでしょう。
3.事務仕事
事務仕事は一見楽に見えるかもしれませんが、長時間の座り仕事や細かいデータ入力など、腰痛や視力の低下を引き起こすリスクがあります。
特に老後は筋力が低下するため、こうした仕事は身体に負担がかかりやすく、避けるべき職種の一つです。
4.営業職
営業職は、顧客とのコミュニケーションや頻繁な外出が求められるため、体力的にも精神的にも負担が大きい職種です。
特に新規開拓営業では断られることが多く、精神的な負担が重くなりがちです。
営業職では、頻繁な外出や移動が求められることが多く、特に体力が衰えてきた60代にとっては、これが大きな負担となることが考えられます。
特に長時間の移動や、長距離の移動が必要な営業活動では、移動そのものが疲労の大きな原因となり、体調を崩すリスクが高まるのです。
また、営業職では、常に成果が求められるため、プレッシャーが非常に大きいです。
こうしたストレスは、老後の健康を損ねるリスクを高めます。
5.介護職
介護職は非常にやりがいのある仕事ですが、体力的にも精神的にも大きな負担がかかります。
高齢者や身体の不自由な方のケアを行うため、体力が必要とされる場面が多くあります。
介護職では、利用者の身体介助や移動のサポートなど、肉体的に負担の大きい作業が頻繁に発生します。
これにより、腰痛や筋肉痛などの身体的な問題が発生しやすくなります。
特に、加齢による筋力の低下が進んでいる60代にとっては、これらの作業が大きな負担となり、健康を害するリスクが高まります。
また、介護職は感情労働とも言われるように、利用者やその家族とのコミュニケーションにおいて、非常に高い精神的なプレッシャーがかかることが多いです。
身体的な負担や精神的なプレッシャーを考慮すると、老後に選ぶにはリスクが高い職種であると言えるでしょう。